· 

こころのすっきりを考える(清水, 2022)

 話すことは、その言葉にならない「ああ!」という音や記号のようなものを意味のある言葉に変えて、相手に伝える作業だと言えます。「ああ!」としか表現できなかったものを、例えば「悲しい」という言葉にして伝えるのです。とはいえ、なにしろぐちゃぐちゃなので最初はうまく言葉にならないかもしれません。いろんな表現を試してみながら、自分にぴったりの言葉を探していきます。・・・(中略)・・・私たちは日々言葉を使って生活をしています。でも苦痛な気持ちでこころがいっぱいになるとき、私たちは思っている以上に言葉を失っているのだと思います。使えるはずの言葉が壊れてしまって、ぐちゃぐちゃのただの文字記号だらけのような状態になってしまう。人と話をするということは、失った言葉を見つけていくことともいえるのかもしれません。言葉は連なると文章になって、やがて物語になって、その先もしかしたら詩や歌になるかもしれません。(p.17)