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空想の性質と機能(Isaacs, 1948 / 松木監訳, 2002)

幼児は愛であっても憎しみであっても、それを自由に表現するための資源をほとんど保持していないので、自分の身体的なあらゆる生産物やあらゆる活動を自分のものすごい願望や情緒を表現する手段として用いなければならないのである。幼児が排泄した瞬間の目的やそれらの出され方(後の時期における排泄の時と場所も含む)によって、尿や便は空想の中で良いものにも悪いものにもなるであろう。(pp.137-8)

 

外的で身体的な現実に照らし合わせてみるなら、空想は、その他の精神活動と同じく虚構である。なぜなら空想は触ることも、操作することも、見ることもできないからである。しかしそれは、主体の体験においては現実である。空想は純粋に精神の働きであり、空想はこころの内的世界だけでなく、主体の身体の発達や行動という外的世界においても実際に影響を与えている。ゆえに空想は他の人々のこころと身体の両方に対して現実的に影響を及ぼしているのである。(p.143)