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書くことについて(King, 2010 / 田村訳, 2013)

 テレビのことを忘れると、ほとんどのひとは読書に歓びを見いだすことができるようになる。テレビを切れば、文章の質だけでなく、人生の質もあがる。テレビを切って、何が失われるというのか。(p.197)

 

 寝室と同様、書斎は夢を見ることができるプライベートな空間だ。毎日ほぼ同じ時間に書斎に入って千語書くのは、毎晩ほぼ同じ時間に就寝儀式をしてからベッドに入って眠るのと同様、それを習慣化し、そこで夢を見るためである。書いているときには、眠っているときと同様、身体を動かすことなく、日常生活の凡庸な合理主義的思考から精神を解き放つことが可能になる…(中略)…この習慣を身につけることができたら、目覚めている意識を故意に創造的な眠りにいざない、イマジネーション豊かな白日夢を見ることができるようになる。(p.208)

 

 描写の不足は読者を混乱させ、近視眼にする。描写の他場は読者をディテールとイメージに埋没させる。その匙加減がむずかしい。ストーリーを紡ぎつつ、何を描写し、何を切り捨てるのかという選択はきわめて重要な問題だ。(pp.231-2)

 

 私がそれを細々と描いたら、そこに読者が入り込む余地はなくなり、両者の相互理解のきずなは失われる。描写は作者のイマジネーションから始まり、読者のイマジネーションで終わるべきものである。(p.232)