両親は子どもによりよいものをもたらす。私たちの知る限り、貧困や残忍な行為、死、虐待、そして時にはあらゆる幼少期の恐怖に満ちた体験に苦しんでいたとしても、すべての両親が自分たちの痛みを子どもに負わせてしまうわけではない。歴史は運命ではなく、親になることが悲しみや傷つきに溢れたものになるのか、それとも新たなやり直しの時になるのかを両親の過去の物語から予測するのは困難である。現在の反復を決定する他の要因が過去の心的体験の中に存在するに違いない。(p.105)
思い出すことでこうした両親は傷ついた子ども(幼少期の自分)に同一化できる。しかしその反対に、思い出すことのできない両親は、無意識のうちに過去の恐ろしい対象と同盟を結び、それらと同一化を行っている。こうして両親の過去は子どもに負わされる。(p.139)