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もうひとつの幸福(清水, 1994)

 誰だって明日という日を生きたことはない。一時間後、いえ、一分、一秒後だって、この地上のだれひとり生きたことはない。誰にとっても、それは体験したことのない未知の、それだけに不安な時間であるはずなのに、大人はその不安を顔に出さない。新しい時間を生きる期待も表に出さない。でも、本当は……(p.3)